駿くん、駿くん。
やっとこっち見てくれた。
お久しぶり。
まさか、さあや?
へぇ、こりゃすごい。
きれいなお姉さんになってる。
和装だから、大人っぽく見えてるだけだよ。
中身は昔と変わらないよ。
駿くんは、外見も変わらないね。
洋館に顔を出したか?
理事長先生や、元生徒会の人がいるよ。
元気な姿、見せてこい。
もう会ってきたよ。
駿くんの言うとおりだね。
ちゃんと私のことを待っててくれた。
だろー?
翔愛学園に入学した子だけに届くんだって。
翔栄町から、成人式の案内。
成人式、すごく良かった。
卒業した生徒会のみんなに会えて。
この街に来ると、素敵な気持ちになれるね。
だろー?
自慢の地元だからな!
俺も鼻が高い。
地元?
駿くんの地元って、翔栄町じゃないよね。
私の記憶違いかな。
いや、合ってる。
子供の頃から引っ越しが多くて地元がないから。
好きな場所を地元と呼ぶようにしたんだな。
そういうのアリなんだ?
私の地元は、家族がいるところかな。
知ってる人が多いと安心するね。
知ってる人なら、多いぞ。
月イチで翔愛学園に顔を出してるから。
みんな俺の友だちみたいなもん!
駿くんは、うまくやってるんだね。
成人式を祝ってもらうのも当然って感じ。
私は、なんだか申し訳ないなって思っちゃう。
町を出たとか、気にするな。
学園に入学したら、俺らは仲間。
絆があるんだから、祝って当然。
いいなぁ、翔栄町。
誰かに見守れられてるって、安心するよね。
駿くんが連絡くれて、いい経験できたよ。
せっかくの人生の門出。
大人になったんだなって、胸が熱くなった。
この感動を、後輩たちにも経験させたいね。
大人として期待されてるんだよね。
私たちに何ができるのかな。
先輩たちも、考えたよね。
大人のスタート地点にいるわけだ。
そんな大きな期待はしてないだろうよ。
町に住んだり、遊びに来たり。
そうね。
町に人が居るって、とても大事。
町が盛り上がるって、いいよね。
人が居なきゃ、成人式もできないから。
この町が好きだって人が増えるといいんだよ。
伝統がずーっと続いていくんだ。
それが大人になる第一歩というなら、協力したい。
この町はあったかい。
また好きになっちゃった。
毎日でなくてもいいから、顔を出せよな。
知ってる人が増えていくぞ。
翔栄町がお前の地元になるよ。