ここが藤川駅前。
林鐘寺周辺とは、趣きが違うわね。
高校は、どちらかしらね。
こんにちはー!
林鐘寺女子高校の制服だ。
かわいーっ。
あら、あなた。
どこかでお会いしたような?
人違いだったら、ごめんなさいね。
2年の寿々音さんですよね。
友だちに、名前を呼ばれてたから。
階段下で、よくすれ違ってますよ。
あぁ、そういえば。
よく喋るお友だちと一緒にいますね。
お名前は、真穂さんでいいかしら。
当たりですっ。
寿々音さんも巡礼ですか?
わざわざ制服まで買っちゃって!
ええ、まぁ。
Memories Offは、兄の影響で。
全作クリア済みです。
わー、マジですか。
うちも、お姉ちゃんが好きで。
2が特にお気に入りです。
そうなのね。
こんな身近にファンが居るなんて。
なんだか、意外ね。
そーでもないですよ?
うちの生徒いっぱい来てます。
まぁ、春休みでしたし。
真穂さん、今日はひとりなのね。
いつもお友だちを連れてたような。
珍しいですね。
他の子とカラオケ行くんだって。
楽しく騒げる場所が、好きなんですよ。
今ごろきっと、マラカスでも振ってますね。
それは残念ね。
私も同じようなもの。
無理に勧める気もないから、誘ってないの。
いい友だちなんですけどね。
その場のノリでワーワーできて、楽しいんだけど。
語り合って、友情を深める雰囲気じゃないですねー。
つまり、深く付き合うきっかけがない?
現実の学園生活って、こんなものかしらね。
ゲームの中のお話とは、ずいぶん違うわ。
分かります!
私が望んだ学園生活は、なんか違うって気持ち。
でも説明が難しいんですよねー。
ええ、本当に。
そういえば、新作が出ているわね。
真穂さんは、もう買った?
もちろん。
あれ、語りたくなりますね。
ほら、女の子同士の友情について。
あぁ、あの子たちのことね。
他人事だから簡単に思えるんでしょうけど。
どうして放っておくの?ってモヤモヤしてしまう。
分かります!
私が友だちなら、あんなのぶっ飛ばしますね。
やっぱり趣味が同じだと、話が通じるの早いですねー。
そうね。
もっとはやく、お話したかったわね。
学年が違うと、接点があまりなくって。
私ね、あの世界にあこがれてて。
高校生になるのが、待ち遠しかったんです。
だから、この現状にすごい不満ありますね。
気持ちは分かるけど。
夢は結局、夢でしかないのよ。
学園ストーリーは、幻みたいなもの。
醒めたこと、言わないでくださいよ。
私の学園生活は、まだ終わってないのに。
夢見たままで、卒業したくないです。
あなたは元気で、前向きね。
話していると、楽しい。
じゃあ、そろそろ行きますね。
寿々音さん、待って。
これから一緒に、散策しましょうよ。
仲間だって、分かったんだから。
あら、いいの?
これから湘南海陵高校へ向かうけど。
あなたは、行ってきたんじゃなくって?
何度行っても、楽しいのが巡礼ですよっ。
話し相手がいると、もっと楽しい。
別々に移動する理由、どこにもない。
じゃあ、お言葉に甘えて。
あぁ、親しく話せる相手がいるっていいわね。
会話は、ひとりじゃできないから。
図々しいお願いしてもいいです?
友だちになってくれませんか。
私の夢を叶えてくれたら、寿々音さんのあこがれも現実になります。
それは、どういう意味かしら。
協力してくれって言ってるの?
数だけのお友だちなら、間に合ってます。
ゲームの中みたいですよね、今。
お互い向き合って、分かり合おうとしてる。
これが私のあこがれなんです。
私も同じ気分だわ。
イジワル言って、ごめんなさい。
ぜひお友だちになってもらいたいわ。
やったー!
じゃあ、今日から寿々音ちゃんって呼ぶね。
馴れ馴れしいかな?
ううん、それでいい。
あこがれが同じなら、理想に近づけるわね。
私たちは、ひとりじゃないもの。
寿々音 翔愛学園高等部2年生
Memories Offのファン。
友だちは多いけど、分かり合える人がいない。
真穂 翔愛学園高等部1年生
Memories Offのような学園ストーリーに憧れて高校生になった。
同じ目的の友だちを探している。